ちょい出だし岩井編

書きやすいとこでここから。私は『Love Letter』の頃から岩井さんとは合わない、と思ってたんだけどこの映画は出来る限り岩井臭を消すことに成功してるんじゃないかな。少なくともアカニシからは岩井キャラ特有の浮遊感は感じなかった。別な意味で地に足ついてないキャラクターだったけど。しかもこの岩井っぽさをなくすことをおそらく監督自身が意識してやってると思うんだけど。友情にヒビは入らんのか。
いわゆる岩井的キャラはユキヤが一手に担当。これはさすがになくせないよね。ユキヤはねえ、あれがないと存在意義が危ういというか、見せ場が全くない状態になるのでいたしかたなしだ。私がいってる岩井臭ってのはつまり、ユキヤの訳わかんないアーティスティックで詩的な「自意識の持ち方」のことなんだけどね。

ナツの加工したボーカルを流してギターを弾くオレ
をアサコに見せるオレ
でも耽溺はしていないオレ

的なさ。
『ボクらの時代』で岩井さんが「中学生高校生の頃がそのままある」って言ってて、うんたしかに十代ならやるかもな、と思った。ユキヤなら30代になってもやりそうだけどな。という訳で「脚本:岩井俊二」で抱いていた不安は杞憂に終わりました。しかし天才イコール長髪ストレートはテンプレが過ぎはしないか。たしかこれ撮ってるとき坊主からちょっと伸びた感じだったと記憶してるんだけど、あのズラをチョイスするよりはそっちを取ってもらいたかった。天才だって髪くらい切るさ。